JRの障害者割引 どの程度割引される?条件は?

障害者配慮、鉄道車内運賃の割引制度
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身体や精神疾患などの障害を持つ人は、特定の条件を満たすことで、鉄道・バスなどの運賃の割引を受けられます。その条件は、各鉄道・バス会社により異なりますが、その割引額は通常の割引に比べて大きいです。ここでは、全国で利用する機会の多いJRに焦点を当てて、障害者割引について解説していきます。

障害者割引、切符が50%(5割)割引になる

JR九州・JR西日本・JR四国・JR東海・JR東日本・JR北海道すべて共通で同じ割引です。大ざっぱに見ていくと、何かしら障害のある方は切符の運賃が5割引になります。ただし、障害のタイプ、介護者の同伴の有無によって条件はことなるため、個別に見ていきます。

身体・知的・精神障害者の割引

第1種障害者と介護の方普通乗車券
回数乗車券
普通急行券
定期乗車券
5割
12歳未満の第2種障害者と介護の方定期乗車券
(小児定期券を除く)
5割
第1種障害者(1人で利用)普通乗車券
片道100km以上
5割
第2種障害者(1人で利用)5割

第1種障害者は、身体・知的・精神のいずれにおいても、重度の障害を持つ人で介護が必要な人のことを示します。この場合、介護者と障害者両方が割引の対象になり、普通乗車券だけでなく、回数券、急行券、定期券も対象です。第2種の場合は、12歳未満の子供が介護者と利用する場合に、定期乗車券のみが、介護者と障害者両方割引対象です。

1人で乗車する場合は、乗車券のみが対象で、片道100km以上(つまり長距離を移動する場合にのみ)利用する場合に料金が5割引されます。1人で移動する場合と、第1種で同伴がいる場合いずれにおいても、新幹線や特急などにかかる特急券は割引の対象にはなりません。特急券が必要なる列車に乗車する場合、運賃自体が5割引になるわけではない点に注意が必要です。

具体例1(介護人と利用する場合)

在来線三島駅⇔東海道線⇔富士駅2人分の運賃を表示
通常運賃:510円x2=1,020円
割引運賃:255円x2=510円

定期乗車券(一カ月)
14,750円x2=29,500円
割引定期運賃:7,370円x2=14,750円

具体例を上げていきます。上記は三島富士の短距離の移動で障害割引を受ける場合です。この場合、第1種の障害者と介護人が同伴で移動するものとすると、2人分の運賃が上記の料金になります。通常運賃であれば1,020円ですが、5割引きで510円、定期代も同様に29,500円が14,750円です。一人分の運賃で二人が乗車できるという言い方をしても良いかもしれません。なお、第2種の12歳未満の障害者と介護者が同伴する場合も、上記と同じ料金です。介護者が割引され、障害者は割引されませんが、12歳未満の場合、小児定期乗車券は半額の値段、大人が割引された料金と同じになるからです。

具体例2(単独で利用する場合)

在来線東京駅⇔東海道新幹線⇔熱海駅 約105km普通運賃;1,980円
割引運賃;990円
東海道新幹線東京駅⇔東海道新幹線⇔熱海駅普通運賃(乗車券)+特急券
1,980円+1,760円=3,740円
990+1,760円=2,750円

次に障害者が単独で利用する場合を見ていきます。東京熱海間の在来線を利用する場合、100kmを超えるので割引が適用になり、990円の運賃で移動ができます。一方で新幹線を利用する場合、乗車券の部分は割引されますが、特急券の部分は割引されません。これは例1の介護者が同伴する場合も同じで、特急券は割引されません。

障害者割引を受けるための条件

障害割引を受けるためには、自身が障害者であることを証明する必要があり、そのためには役所で発行された手帳を購入時に掲示する必要があります。身体障害者は身体障害者手帳、知的障害者は療育手帳、精神障害者は精神障害者保健福祉手帳がそれぞれ必要になります。精神障害者以外は、マイナポータルと連携された手帳アプリのミライロの掲示でも良いですが、それでも手帳は保持している必要があります。なお手帳は、購入時、改札を通った際に確認を求められるので、掲示が必要です。

割引切符の購入方法

購入方法はいくつかありますが、基本的には駅で係員のいる窓口で手帳を掲示して、購入する必要があります。なお、無人駅の場合は、列車の乗務員に手帳を掲示して購入する必要があります。切符売り場では、普通の切符のみしか購入できません。また、ネットの事前予約などでは、できないケースが多く、やはり駅の係員や列車の乗務員から購入するのが一般的です。

JR西日本とJR東日本・JR北海道ではネットで障害者割引切符を予約・購入することが可能

  • JR東日本・JR北海道のえきねっと

えきねっとでは、自身のアカウントに障害者手帳を登録、マイポータルと連携させることで、障害者割引の切符を予約できます。厳密にはネット購入でチケットレスにはできず、予約した後に、駅の窓口で手帳と予約番号を掲示することで、割引された切符を受け取ります。なお、新幹線・特急については、障害者割のeチケット割引と、障害者割のトクだ値切符を購入するでき、登録されたICカード(Suicaなど)に紐づけて、切符を購入することなく利用できます。詳しくはこちらのサイトで解説しています。これらの割引切符は乗車券の50%割引されたもの、トクだ値は特急券も割引された切符となり、通常運賃よりも安い料金で新幹線を利用できます。

東北・北海道新幹線東京駅⇔東北新幹線
やまびこ⇔仙台駅
通常運賃(指定席)
乗車券:6,050円
特急券;4,840円
合計:10,890円
eチケット
障害者割(指定席)
乗車券:3,020円
特急券:4,840円
合計:7,860円
eチケット
障害者割トクだ値14
(指定席)
乗車券:3,020円
特急券:3,380円
合計:6,400円
普通のトクだ値は7,610円

上記は東京仙台間を利用した場合ですが、通常運賃に比べて大幅に安くなります。乗車券についてはすべて50%割引、特急券については障害者割トクだ値に限り、30%割引されます。普通のトクだ値14は7,610円ですから、それと比べると1,190円安くなります。

  • JR西日本e5489

e5489も同様に、自身のアカウントに障害者手帳を登録、マイポータルと連携させることで、ネットで障害割引の切符を予約・購入できます。こちらも同様に、予約後に窓口で予約番号と手帳を掲示し、切符を受け取ります。ただし、精神障害者は対象外で、身体障害者、知的障害者のみが対象です。なお、JR東日本の「えきねっと」のように、交通系ICカードに紐づけての利用はできません。

障害者専用の交通系ICカード

交通系ICカードには、障害者用に作られたICカードがあります。それらを利用することで、障害者割引が自動で適用、かつチケットレスで公共交通を利用できます。ただし、障害者用のICカードは、いくつかの制限があり、障害者用ではない交通系ICカードと比べて使い勝手が悪い場合があります。また、すべての障害者に適用されるわけではありません。

障害者用Suicaを例に挙げていくと、第1種の障害者に限定され、第2種の障害者は利用できません。なお、介護者は介護者専用のSuicaを利用できます。これは鉄道会社によって異なるものの、JRはすべて共通です。地方の私鉄やバスの交通系ICカードは、2種の障害者にも対応しているケースもありますが、その地方エリアの鉄道、バスのみ、障害者割引が適用され、それ以外の地域では適用されません。また、基本的には、JRのものでなければ新幹線や特急も割引されません。例えば、宇都宮で利用できるTotoraは、関東自動車バスと栃木県内のバス、宇都宮LRTでは割引が適用されますが、それ以外の路線やエリアでは割引もされず、利用もできません。これは、宇都宮近辺のJR路線も利用できません。障害者用ToicaはToicaが利用できるエリアに限定され、それ以外のエリア、路線では利用できません。これは、普通のToicaであれば使える、名鉄や静鉄、遠鉄、豊鉄の列車、バスも使えないということになります。ただし、愛知環状鉄道については例外的に利用できます。新幹線は東海道新幹線が利用できますが、山陽新幹線、東北新幹線など、別のJRの路線は利用できません。

また、有効期限があり、例えば障害者用Suicaは、発行した日から1年が有効期限で更新が必要になります。

これらを踏まえると、障害者の交通系ICカードについては、必ずしも障害者全員が使えるわけではなく、使えない場合は、通常のICカードで割引なしで移動するか、紙切符を窓口で受け取る必要があります。

また、使えても、使える路線と使えない路線があり、かつ全国相互利用には対応していません。とりわけ、新幹線や特急で利用する場合、障害者Toicaのようにその利用はエリア内の利用のみに制限されます。なお、JR東日本や北海道のように、通常のSuicaを紐づけて、新幹線で障害者割引、トクだ値割引を利用できるもありますが、これは例外的なケースと言えるでしょう。