LCC,MCC,FCCとは?それぞれについて解説

飛行機、スカイマーク 飛行機
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数十年前までは、飛行機は高価な乗り物でしたが、LCCとMCCの登場により、低サービスではあるものの、低価格の航空券が購入できるようになりました。ここでは、そのLCC・MCC・FCCについてそれぞれ特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

LCCとは?格安航空

LCCはLow Coast Carrier(ローコストキャリア)の略で、格安航空会社のことを示します。格安と言うように、従来の航空会社(FCC)に比べて、大幅に安い運賃で利用できるのが特徴です。どの程度運賃が違うのか?FCCの飛行機と比較していきます。

LCC,格安航空券
名古屋(セントレア)空港⇔FCC(ANA・JAL)⇔福岡空港
37,050円
LCC,格安航空券名古屋(セントレア)空港⇔LCC(ジェットスター)⇔福岡空港6,930円
*航空券の価格は日によって変動あり。

名古屋(セントレア)と福岡空港を結ぶ飛行機で具体例をあげます。両空港間は、FCCであるANA・JALが運行されていますが、通常運賃は約37,000円と、新幹線と比べても高額に設定されています。もっとも、格安航空券を購入することでもう少し安くできますが、それでも10,000円を超えるのが普通です。一方でLCCは6,930円と安く、行楽シーズンの高い時期であっても10,000円程度の運賃までしか高くならず、文字通り格安で利用できるのが特徴です。

LCCのデメリット

安さの裏には何かデメリットがあるのではないか?と思われますが、LCCは、人材やサービスの質などで徹底的なコスト削減を図っており、それが航空券を安くできる理由です。ただし、その分サービスの質などではデメリットもあるので、下記に上げていきます。

  • サービスの簡素化、サービスの利用はオプションで追加料金発生

FCCやMCCでは機内食や飲み物、エンターテインメントがサービスとして付属し、座席の指定も料金に含まれます。一方で、LCCは安い反面、そのようなサービスは基本的にありません。上記はすべてオプションであり、追加料金を払ってサービスを申し込みます。例えば機内食は追加1,000円、エンターテインメント(映画や音楽、ゲーム)は2,000円といった感じです。また、座席指定もオプションであり、座席を指定する場合は1,000円程度の追加料金がかかります。ただし、座席をランダム指定にする場合は、追加料金は発生しません。

これは要するに、ただ移動するだけで良ければ、付属するサービスはつけず、その変わり、安価な運賃で利用できるということです。これらのサービスが特に必要ない人には、あまり問題にならないかもしれませんね。

  • 受託手荷物がオプション、追加料金を払う必要あり

機内に持ち込めない荷物は、受託手荷物として預けられますが、FCCではこれが標準で付属しているのに対して、LCCはこれもオプションです。料金は重量によって決まり、重量が大きいほど高額になります。例えば、ジェットスターでは、15kg,20kg,30kg,40kgごとに分かれており、国内線の場合、15kg~20kgで2,000円程度の追加料金が必要です。受託手荷物で料金を払いたくない人は、機内持ち込みになりますが、重量に制限があり、例えばジェットスターでは7kg以内に納める必要があります。この7kg以内に重量をおさえるのは難しく、荷物が多い人は受託手荷物を使わざるを得なくなりますが、必ず+数千円払う必要があります。

  • キャンセルや変更に不寛容。最安値プランでは基本的に不可

FCCではキャンセルしても返金がなされ、変更も手数料なしで可能ですが、LCCの場合は、それが基本的にできません。キャンセルしても払い戻しはなし、変更は不可です。ただし、LCCにはいくつかのプランがあり、最安値以外の運賃プランを、追加料金を払って選択すれば、払い戻しと変更が可能になる場合があります。例えば、ピーチでは、ミニマムプランは最安値であるものの、払い戻し不可で変更もできませんが、最も最高値であるスタンダードプランを選択することで、上記が可能になります。

  • 便数が少なく、時間の融通が利きにくい

JAL・ANAなどのFCCは運行本数が多いのが特徴ですが、一方で、LCCは運行本数が多くありません。前者は1日10便以上あっても、LCCになると1日数便、もしくは1便のみということも珍しくありません。

  • 主要都市間のみの路線に限られる。羽田、伊丹などの一部の空港には就航便はない

LCC自体、展開している路線が少なく、基本的に成田・関空・中部・福岡・千歳などの一部の主要空港間に限定されます。最近では、九州や四国空港にも路線が増えていきますが、それでも、地方便を利用する人にはあまり縁がないかもしれません。また、国内線の主要空港である羽田・伊丹に就航便はなく、首都圏は成田、京阪神は関西空港のみに就航しています。この2つの空港は、東京都心、大阪・京都・神戸の中心部から離れているため、空港までの移動も交通費・時間ともに負担になるのが欠点です。

上記のうち、はじめの3つのデメリットは、追加料金を払うことで解決できます。もっとも、受託手荷物を追加、座席指定、かつ運賃プランを最安値以外にしても、FCCよりは安くなります。日によっては格安航空券よりも安くなることもあるので、どちらにせよ安いことには変わりありません。

  • ターミナルが簡素、メインターミナルから離れているケースが多い

成田、関空、中部ではLCC専用のターミナルが設けられていますが、ターミナルは、通常のそれと比べると簡素です。また、メインのターミナルから離れており、無料バスを使ってLCC専用ターミナルまで移動する必要があります。空港行きのバスや鉄道は、メインターミナルが終点であるため、LCC専用のターミナルへは乗り換えが必要となり、移動の手間が増えるデメリットもあります。

これらを見ていくと、サービスが最低限でも良いし、多少の不便は許容し、とにかく安く移動したいのであれば。LCCが選択肢になるでしょう。

信じられない価格で飛行機を利用できるセール

LCCでは、不定期でセールを行うことがあります。これは通常のLCCの運賃よりもさらに安い価格で、航空券が購入できるもので、例えば、片道5,000円の航空券が、1,000円と破格の値段で購入できるものや、パッケージツアーと称して、セール価格の航空券と、ホテルやレンタカーがセットで購入できるものがあります。割引率がとても高いのが特徴ですが、早割の航空券のように事前の予約が必要であり、基本的に数カ月先の航空券をセール価格で予約する形になります。直前の予約ではセールは利用できません。

LCC航空会社一覧

現在日本には、以下のLCC(格安航空会社)が路線を展開しています。

  • ピーチ(Peach)
  • ジェットスター(Jetstar)
  • スプリングジャパン(春秋航空)
  • ジップエア*

*ジップエアは国際線のみです。

MCCとは?ミドルキャリアコスト

MCCは、ミドルキャリアコスト(Middle Career Cost)の略で、LCCとFCCの中間にあたる航空会社を指します。中堅航空会社とも呼ばれます。名前の通り、航空券の価格もサービスも、LCCとFCCの中間にあたる存在であり、双方のメリットのみをえり好みした感じです。

LCC,格安航空券
羽田空港⇔FCC(ANA・JAL)⇔福岡空港
54,460円
LCC,格安航空券羽田空港⇔MCC(スカイマーク)⇔福岡空港11,960円~43,860円
*航空券の価格は日によって変動あり。

羽田福岡間の航空便で具体例を上げます。FCCは5万円台なのに対して、MCCのスカイマークは最安値で11,960円、最高値で43,680円です。MCCの運賃には幅がありますが、概ね、MCCに比べれば安い運賃で利用できます。格安航空券とは同じくらいの値段幅です。

スカイマークの場合、サービスがオプションということはなく、付属で付いてきます。座席指定は無料ですし、受託手荷物も20kgまでなら無料です。それ以上の重量の場合は追加料金がかかります。ドリンクも無料で、機内食はないものの、車内販売もあります。車内販売については、追加で料金がかかります。予約の変更やキャンセルも基本可能で、搭乗予定時刻以降でなければ可能です。

これらを見ていくと、最安値の11,960円で購入できれば、LCCよりも少し高いか、同じくらいの運賃でMCCと変わらないサービスを利用できるという点は大きなメリットになります。LCCは確かに安いですが、付属のサービス、運賃タイプで高いものを選択すると料金が上がります。例えば、成田福岡間で6,000円の航空券があったとしても、高い運賃タイプ、付属のサービスを追加すれば9,000円~10,000円程度まで高くなることがあり、加えて、空港までの鉄道運賃を加えると、羽田のスカイマーク最安値運賃と大して変わらないということも珍しくありません。

デメリットに関しても、LCCとFCCの中間的な位置にあります。LCCと同様、コストカットを図っている部分もあるため、MCCと比べて運行本数が少なく、路線が一部に限定されるという点もあります。利用者の少ない地方路線では運行されていませんが、例えばスカイマークは神戸や茨城、フジドリームエアラインは静岡、小牧、岩手などの地方の路線にもいくつか路線があります。

これらを見ると、LCCほど安くなくて良いが、安さもサービスも重視したいという方には、MCCが選択肢になります。

MCC航空会社の一覧

  • スカイマーク
  • ソラシドエア
  • Air do
  • スターフライヤー
  • トキエア
  • フジドリームエアライン

上記は、LCCに分類されることもあります。

FCCとは?フルキャリアコスト

最後にFCCですが、こちらは従来からある航空会社です。フルキャリアコストと呼ばれ、航空券の価格は高いものの、LCCがオプションのサービスはすべて付属しており、キャンセル、変更も可能な航空便が利用できます。安全性が高く保証も厚いともいわれます。

サービス面では問題なく、デメリットは航空券の価格が高いという点がありますが、MCCでも、早割航空券の販売を行っており、また、格安航空券サイトでも購入ができるため、LCCまではいかなくとも、MCCと同じくらい安い航空券を購入することが可能です。

FCCに該当する航空会社は、ANAとJALの大手2社が該当しますが、LCCやMCCと異なり、運行本数が多く、日本各地に路線を巡らせているため、地方便でも利用できる点があります。とりわけドル箱路線と呼ばれるような路線は、1時間に数本運行されているような路線もあり、時間の融通が利きやすいメリットがあります。

これをふまえると、FCCは、航空券の価格の高さが問題にならない人、サービスの質を重視したい人、また、LCCとMCCが就航していない地方便をメインに利用する人には選択肢になります。