ここでは、九州の中心都市である福岡と、山口県の各主要都市への移動手段を比較していきます。この区間の移動手段は、鉄道と高速バスの2つがあります。下関、宇部、山口、周南、岩国の5つの都市を、それぞれを比較してみていきます。
山陽新幹線
![]() | 博多駅⇔九州ソニック⇔小倉駅 ⇔JR鹿児島・山陽本線⇔下関駅 | グリーン :3,630円 指定席 :2,860円 自由席 :2,330円 移動時間:1時間 |
![]() | 博多駅⇔山陽新幹線⇔厚狭駅 ⇔JR山陽本線⇔宇部駅⇔宇部線 ⇔宇部新川駅 | グリーン :7,440円 指定席 :5,170円 自由席 :4,840円 移動時間:1時間22分 |
![]() | 博多駅⇔山陽新幹線⇔新山口駅 | グリーン :8,090円 指定席 :5,820円 自由席 :5,170円 移動時間:35分 |
![]() | 博多駅⇔山陽新幹線⇔徳山駅 | グリーン :8,660円 指定席 :6,590円 自由席 :5,940円 移動時間:44分 |
![]() | 博多駅⇔山陽新幹線⇔新岩国駅 ⇔いわくにバス⇔岩国駅 | グリーン :11,900円+ 指定席 :8,240円+ 自由席 :7,910円+ 移動時間:1時間26分+ |
山口の場合、個々の都市間に焦点を当てていきます。
下関
博多下関間は、新幹線を使う必要はなく、特急ソニックを博多小倉間、小倉下関間を在来線で利用するのが合理的です。別ルートとして新下関駅経由の新幹線(3,480円)がありますが、特急利用の2,330円に比べて高くなります。また、移動時間は約1時間で、新幹線を利用してもほぼ同じ主要時間です。なお、博多小倉間を新幹線にすることで、運賃は高くなるものの、移動時間を短くすることは可能です。ただし、新幹線が博多小倉で20分、ソニックが40分なので、20分程度短くなるだけです。また、乗り換えの時間が長ければ、その分は相殺されてしまいます。運行本数は、ソニックは1時間当たり2本あり、小倉下関を直通する在来線は1時間に2本あります。
なお、博多小倉間を在来線、快速列車などを利用することで、特急券なしで移動すれば、鉄道での移動は1,730円まで抑えられます。ちなみに、この区間は、移動距離が100kmを下回るため、学生割引は適用されません。
宇部
博多宇部間は、厚狭駅で新幹線⇔在来線に乗り換えて移動します。厚狭駅は「こだま」のみしか停車しないので、博多厚狭間は「こだま」での移動になります。宇部の発着駅は、宇部駅ではなく、市街地に近い宇部新川駅としました。市街地と厚狭駅を行き来する場合は、宇部駅でJR宇部線⇔JR山陽本線に乗り換える必要があり、合わせて2回の乗り換えが必要になります。運賃は4,840円で、下記に示す割引切符が利用できます。移動時間は、在来線を含むため1時間22分と長く、乗り換えの待ち時間によっては長くなることもあります。新幹線は「こだま」が1時間にあたり1本運行していますが、山陽本線、宇部線は1時間に1本、もしくはそれ以上に本数が少なくなることがあるので、注意が必要です。
なお、新山口から宇部線で宇部方面へ向かうルートもありますが、このルートでは、運賃が高くなり、戻る形になるうえ、移動時間も長くなるのでお勧めできません。
新山口
博多新山口間は、新幹線の「のぞみ」「みずほ」が最速で、移動時間は約35分です。この区間は距離が短いため「さくら」「こだま」も利用でき、こだまは新下関と厚狭駅の2駅が増えるだけなので、大きな負担にはなりません。運賃は5,170円からなり、下記に示す割引切符が利用できます。特に大幅に安いバリ得や「行こっかこだま」が使えるのは大きなメリットで、「こだま」でも50分程度の移動時間ですから、移動時間が増えても、デメリットにはなりません。これは厚狭・徳山・新岩国でも同様です。運行本数は「のぞみ」が1時間あたり1本、「こだま」が1時間あたり1本です。「さくら」「みずほ」の本数は多くなく、日中の時間帯は運行されない時間帯があります。
なお、山口市内へ向かう場合は、新山口駅から山口線に乗り換えて移動します。山口駅までは在来線で25分程度かかり、意外に距離があります。
防府方面へ向かう場合は、新山口駅から山陽本線に乗り換えて防府駅まで移動します。移動時間は20分程度です。
徳山(周南)
徳山の場合は、新幹線1本で移動できます。徳山駅も少ないながらも「のぞみ」が停車するため、最速44分で移動できます。「こだま」の場合は約1時間です。ただし、運行本数は1日に5便のみで少なく、「こだま」「さくら」の方が本数は多いです。特に「こだま」は、1時間に1本は運行されています。運賃は5,940円からで、下記の割引切符が利用できます。
新岩国(岩国)
博多岩国間は、新幹線「こだま」を利用して移動します。運賃は7,910円からで、下記の割引切符が利用できます。移動時間は1時間22分です。徳山同様、「こだま」は、1時間に1本は運行されているため、それほど不便ではありません。
岩国で問題になるのは、新岩国から岩国の市街地へのアクセスで、錦川鉄道を利用して移動できますが、これが運行本数が少なく、とても不便です。そのため、鉄道よりも運行本数があるバスを利用した方が便利でしょう。バスは1時間に1本~3本あり、料金は540円、移動時間は約30分です。そのため、トータルの運賃では合わせて8,450円、移動時間は約2時間と見積もっておくのが良いでしょう。
バス以外の選択肢としては2つあり、1つは博多広島を新幹線で移動し、広島岩国を在来線で移動する方法があります。ただし、交通費が高くなるうえ、移動時間が短くなるわけではないので、お勧めできません。2つ目は、博多徳山を新幹線、徳山岩国間を在来線で移動するルートがあります。このルートは交通費が安くなるものの、移動時間は少し長くなります。
割引切符一覧
割引切符サービス | 博多宇部 | 博多新山口 | 博多徳山 | 博多新岩国 | |
e特急券 | グリーン7,130円 指定席 4,860円 自由席 4,840円 | 7,780円 5,510円 5,170円 | 8,550円 6,280円 5,940円 | 11,570円 7,910円 〃 | 会員制 当時予約可能 |
EX予約サービス | グリーン7,130円 指定席 4,860円 自由席 4,840円 | 7,780円 5,510円 5,170円 | 8,550円 6,280円 5,940円 | 11,570円 7,910円 〃 | 有料会員 当日予約可能 (早特は3日前) |
スマート EX予約サービス | グリーン7,240円 指定席 4,970円 自由席 4,840円 | 7,890円 5,620円 5,170円 | 8,660円 6,390円 5,940円 | 11,700円 8,040円 7,910円 | 無料会員 当日予約可能 |
こだま指定席 きっぷ | 指定席 設定なし | 4,270円 | 4,840円 | 6,320円 | 2名以上から。 一部ひかりに乗車可能 |
Wester ポイントアップ グレード | グリーン5,810円 | 6,170円 | 6,940円 | 8,910円 | e5489ポイント利用 |
Westerポイント 特急券 | 指定席 4,810円 | 5,170円 | 5,940円 | 7,910円 | e5489ポイント 500p利用 |
eきっぷ | グリーン設定なし 指定席 5,070円 自由席 4,840円 | 8,000円 5,710円 5,170円 | 8,770円 6,480円 5,940円 | 設定なし 8,120円 7,910円 | e5489利用 |
学割 | グリーン6,970円 指定席 4,700円 自由席 4,370円 | 7,560円 5,290円 4,640円 | 8,170円 5,900円 5,280円 | 10,990円 7,330円 7,000円 | 学割証明必要 |
バリ得 こだま・ひかり ・つばめ・さくら | 指定席*3,430円 | 3,700円 | 4,500円 | 6,500円 | 日本旅行商品。 |
行こっかこだま | 指定席*3,460円 | 3,660円 | 4,280円 | 5,860円 | JR東海ツアーズの 旅行商品 |
博多下関間は、在来線になるので割引切符は利用できません。それ以外ではバリ得、行こっかこだまが安く、次いでこだま指定席切符が安くなります。
JR+ツアーを利用する。
山口もしくは福岡で1泊以上するのであれば、ホテルとセットになったツアーを利用する方法も選択肢の1つです。これは新幹線もしくは、飛行機の移動と宿泊がセットになったツアーパックで、別々に予約するよりも安い運賃で利用できます。具体例をあげてみていきます。
![]() | 博多駅⇔山陽新幹線⇔新山口駅 (ホテル1泊あり) | 14,500円~ | 別々に予約した場合 新幹線;5,170円×2 ホテル;5,000円~ 合計:15,340円~ |
ツアーは山陽新幹線の往復料金とホテル料金が含まれます。ホテルの料金は、安いビジネスホテルの5,000円台と仮定します。すべてが込みで14,500円ですが、別々に予約すると、最低でも15,340円かかります。差額は840円で、若干ですが、ツアーの方が安くなります。これを、片道当たりの運賃で計算すると4,750円となり、通常運賃の5,170円よりも安くなります。ツアー商品を利用することで、上記のように鉄道の運賃を安くできます。
高速バス
![]() | 博多BT・西鉄BT⇔ふくふく号⇔下関駅 | 下関:1,700円 | 1時間42分 |
![]() | 博多BT・福岡天神⇔福岡山口ライナー ⇔山陽小野田・宇部新川駅・新山口駅・山口駅 | 宇部:3,000円 山口:3,500円 | 2時間31分 3時間35分 |
![]() | 博多BT⇔福岡・防府・周南ライナー⇔美祢IC ・防府駅・新南陽・徳山駅・下松 | 周南:2,000円 ~3,500円 | 3時間33分 |
次に高速バスを見ていきます。高速バスは博多バスターミナルを発着として、日中に山口県内の各主要都市、下関・宇部・山口・周南に運行されています。岩国方面へのバスはありません。このうち、運行本数が多いのは、博多下関間のふくふく号で1日12本運行されています。それ以外の2つは、朝に福岡方面、夕方に山口方面にそれぞれ2便運行されているのみです。
高速バスの特徴としては、運賃は新幹線よりも安く、バリ得などの格安切符と比較しても安くなる点が上げられます。一方、移動時間は長く、例えば35分で移動できる博多新山口間は、高速の場合、3時間35分もかかります。時間の制約がない人向けではあるのですが、その一方で、山口側は、鉄道駅から離れた地区のバス停にも停車し、乗り換えが必要な場所にも、乗り換えなしで行けるのがメリットです。これは、土地勘のない旅行者にとっては、移動しやすく助かるでしょう。
まとめ
以上をまとめると、いずれの都市においても、高速バスが安い一方で、鉄道はもっとも移動時間が短く、他方で鉄道は料金が高く、高速バスは移動時間が長くなります。もっとも、下関については高速バスでも40分の差なので、乗り換えがないメリットを考慮すると、高速バスも悪くありません。なお、岩国は鉄道一択です。
福岡山口間は、新幹線の割引切符が充実しているため、これらを有効活用しない手はないでしょう。例えば、「バリ得」や「行こっかこだま」を利用すれば安く移動でき、下記が示すように高速バスと大差ない価格差まで下げられます。さらに、こだまの移動が主体になる区間が多いため、「のぞみ」が乗れず、移動時間が長くなるという点がデメリットになりません。
移動時間比較早見表
鉄道 | 高速バス | 備考 | |
下関 | 2,330円 1時間 | 1,700円 1時間42分 | 鉄道は特急ソニック、在来線を利用 |
宇部 | 4,840円 1時間22分 | 3,000円 2時間31分 | 宇部の発着点は、宇部新川駅 「バリ得こだま」は3,430円 |
山口(新山口) | 5,170円 35分 | 3,500円 3時間35分 | 「行こっかこだま」は3,660円 |
周南(徳山) | 5,940円 44分 | 2,000円~3,500円 3時間33分 | 「行こっかこだま」は4,280円 |
岩国 | 8,450円 約2時間 | ———- | 「行こっかこだま」は5,860円+540円 |