ここでは、愛知県名古屋市と大阪府大阪市の都市間移動について比較していきます。名古屋市と大阪市は約190kmの距離があり、双方とも大都市であるため、移動手段は充実しています。移動手段は、東海道新幹線、高速バス(夜行・昼行)、在来線、近鉄の4つがあります。ここでは名古屋駅と大阪の主要駅である大阪梅田駅間の移動で、それぞれを比較してみていきます。大まかに比較すると、以下になります。
運賃:高速バス<在来線<東海道新幹線
移動時間:東海道新幹線<高速バス<在来線
なお、神戸、京都間の移動手段比較は、下記のサイトで行っています。
JR東海道・山陽新幹線(のぞみ・ひかり・こだま)
![]() | 名古屋駅⇔東海道新幹線⇔新大阪駅 ⇔JR東海道線⇔大阪梅田駅 | グリーン 8,950円 指定席 6,680円 自由席 5,940円 | 1時間5分~ 1時間22分 |
初めに東海道新幹線を比較します。この場合、名古屋新大阪間は新幹線、新大阪大阪間は、在来線に乗り換えて移動します。料金は自由席で5,940円です。各種割引切符があるので、それらを利用することでさらに安く移動できます。各種割引切符は以下のようになっています。
e特急券 | グリーン8,640円 指定席 6,370円 自由席 5,680円 | 会員制 当日予約可能 |
EX予約サービス | グリーン8,820円 指定席 6,550円 自由席 5,860円 | 有料会員 当日予約可能 (早特は3日前) |
スマートEX予約サービス | グリーン8,930円 指定席 6,660円 | 無料会員 当日予約可能 |
Ex早特3 | グリーン6,670円 | 3日前購入 |
Ex早特7(ひかり・こだま) | 指定席 5,470円 | 7日前購入 |
こだまファミリー早特7 | 指定席 4,970円 | 7日前購入 2人以上 |
金券購入 | 自由席 5,600円* | |
学割 | グリーン8,260円 指定席 5,990円 自由席 5,250円 | 学割証明必要 |
ぷらっとこだま | グリーン6,570円 指定席 5,000円 | JR東海の旅行商品 前日購入可能 |
最も安い切符は、こだまファミリー早特7、次がぷらっとこだま、学割の自由席、Ex早特7の順です。円、Ex予約サービスとe特急券、スマートExは、ネット予約専用の切符ですが、割引率は高くありません。
移動時間は約1時間5分(のぞみ・ひかり)~1時間22分(ひかり・こだま)です。最速はのぞみ号ですが、この区間は「ひかり」「こだま」でも大きな差はありません。理由は、停車駅が少なく、こだま号でも岐阜羽島・米原・京都の3駅しかなく、「のぞみ」の通過待ちを行うのは前者2駅のみだからです。そのため、どの車両でも利用やすい特徴があります。運行本数は非常に多く、1時間辺り8本~10本運行されているので、とても時間の融通が利きます。
混雑の度合いですが、東海道・山陽新幹線区間のいずれも利用者が多いので、着席できない時もあります。名古屋・新大阪駅は降車する乗客も多いので、早く列に並び、降りた乗客の席を確保できれば、着席できることが多いでしょう。京都駅で降車する乗客が多いので、そこからも着席できますが、下りの場合、すぐに新大阪に到着してしまうので、あまり意味がないかもしれません。
高速バス(名神ハイウェイバス)
![]() | 名鉄バスセンター・名古屋駅 ⇔名神ハイウェイバス⇔大阪駅・なんば・USJ | 3,100円 | 2時間50分 |
次に高速バスを見ていきます。メインのバスとして、名神ハイウェイバスが両都市間を運行しています。料金は3,100円ですが、各種割引を利用することで、さらに安くできます。割引切符は以下にあげます。
料金 | 備考 | |
特割 | 1,600円~2,800円 | |
セール割 | 1,800円~2,400円 | |
学割 | 2,600円 | 学生証必要 |
往復割引 | 2,850円 | 往復5,700円 |
一番安い運賃は、特割の最安値の1,600円です。これだけでも十分安いですが、セール割も含めると、3,000円以下の料金で利用できます。
大阪名古屋間の名神ハイウェイバスは、途中で京都深草・千里ニュータウンに停車する以外は、停車するバス停はありません。大阪側では大阪駅に停車、便数は少ないですが、USJ・なんばBTに停車するバスもあります。移動時間は約2時間50分ですが、渋滞によってこの時間は長くなる可能性があります。渋滞していなければ、定刻もしくはそれよりも早くに到着できるのですが、交通量の多い地域を走るため、休日はもちろん、平日でも時間帯によっては、遅れることがあります。名神バスの場合、定期的に行われる名神・新名神の集中工事や、特定区間で行われるリニューアル工事で遅れることがあるほか、土日や行楽シーズンは、渋滞で遅れることが多くあります。バスを利用する場合は、ある程度余裕を見てスケジュールを立てた方が良いでしょう。運行本数は多く、おおむね1時間あたり1本運行されています。
高速バス(名神ハイウェイバス以外・昼行便)
![]() | 天王寺・大阪駅・長田・高速京田辺 ⇔名古屋特急ニュースター号⇔名古屋駅 | 3,000円 | 2時間55分 |
![]() | USJ・大阪梅田⇔JAMJAMライナー ⇔名古屋ささじまライブ | 2,500円~ | 3時間35分(朝土日のみ) |
![]() | なんば・大阪梅田・桃山台駅 ⇔ウィラーエクスプレス ⇔長島リゾート・名古屋駅・岡崎・豊田 | 1,800円~ | 3時間40分 |
![]() | 難波・USJ⇔どっとこむライナー⇔栄 | 2,800円~ | 3時間25分(夜) |
日中に運行しているバスは、名神ハイウェイバス以外に4つあります。このうちJAMJAMライナーは、土日のみ朝に運行されるバスで、どっとこむライナーは、大阪→名古屋の夜発深夜到着のバスです。ウィラーエクスプレスは、途中で長島リゾートに停車しますが、都市間バスというよりも、長島リゾートへのアクセスを主体とした形のバスです。これらバスは、便数の少なさ・所要時間の長さなどから名神ハイウェイバスと比べると、使い勝手はあまり良くありません。
一方、ニュースター号は朝~夕まで1日7便運行されており、移動時間も名神ハイウェイバスとほぼ同じで、名神バス同様、都市間移動のメインになります。名神ハイウェイバスとの違いは、名神バスは、京都深草・千里ニュータウンに停車するのに対して、こちらは高速京田辺バスストップに停車、渋滞の少ない第二京阪を経由します。
これらバスの運賃は最安値で1,800円と全体的に安いのが特徴です。特にウィラーエクスプレスの安さが際立ちます。
高速バス(夜行バス)
![]() | ヨドバシ梅田タワー⇔さくら高速バス ⇔名古屋駅 | 3,500円~ | 23時発5時~6時着 |
![]() | USJ・大阪梅田⇔JAMJAMライナー ⇔名古屋ささじまライブ | 2,000円~ | 23時~24時発 5時~7時着 |
![]() | 桜島・USJ・難波・新大阪駅・大阪駅 ⇔Limonbus⇔名古屋駅・栄 | 2,380円~ | 23時発5時~6時着 |
![]() | 桜島・USJ・大阪梅田・桃山台駅 ⇔ウィラーエクスプレス ⇔近鉄四日市駅・金山駅・名古屋駅 | 2,000円~ | 24時発5時~6時着 |
![]() | USJ・大阪駅・千里ニュータウン ⇔ドリーム号⇔岐阜駅・名古屋駅 | 2,700円~ | 22時発5時~6時着 |
大阪名古屋間は、距離が短いながらも、夜行便が運行されています。夜行便は5社が運行しており、それぞれ大阪梅田発着、名古屋の市街に停車、JAMJAMライナー以外は、すべて名古屋駅に停車します。昼行便と比較して、さらに細かい需要に答えるため、複数のバス停に停車します。例えば、Limonバスは難波・新大阪・栄に停車、ウィラーエクスプレスは三重県の四日市、ドリーム号は岐阜県の岐阜市に停車します。運賃は最安値で2,000円、全体的に昼行きのバスよりも安い傾向にあります。また、車内で宿泊するため、宿泊費を節約できます。ただし、近距離なためか4列シートで運行されるバスが大半で、快適性はあまり高くありません。
特急ひのとり
![]() | 近鉄名古屋駅⇔特急ひのとり⇔ 大阪難波駅⇔大阪メトロ⇔大阪梅田駅 | 近鉄特急:4,990円 大阪地下鉄:260円 合計:5,250円 | 2時間42分 |
次に、近鉄の特急ひのとりを利用するルートを見ていきます。このルートは、近鉄名古屋線・大阪線の特急を利用するルートで、三重県・奈良県を走行して、名古屋大阪を結びます。料金は、特急料金も含めて4,990円、大阪駅へ向かう場合、地下鉄も利用するので、それも含めると5,250円です。なお、特急はレギュラー席で計算していますが、プレミアム席を利用すると、+700円追加でかかります。割引切符は回数券が利用でき、値段は28,600円(14枚)と高いですが、1枚当たり乗車券が2,050円と、通常の乗車券よりも安くなります。レギュラーが2,130円ですから、地下鉄・特急券込みで4,440円まで安くできます。
近鉄は、新幹線と高速バスの中間に位置する存在と言われています。移動時間は約2時間42分で、高速バスよりも少し早くなります。ただし、高速バスと違い定時制が高く、遅れることが少ないのがメリットです。
近鉄ルートは、名古屋と大阪梅田間を利用するルートとしては不向きです。理由は新幹線の方が速いうえに、割引切符を利用すれば、近鉄とほぼ同じか、それよりも安い料金で移動できるからです。また、交通費を安くしたいのであれば、高速バスがあります。近鉄が優勢になるのは、発着が難波、大阪府南部、関空方面の場合です。特に関西空港の場合は、高速バスと通して利用できる割引切符もあります。また、大阪発着でも、近鉄沿線が発着であれば、新幹線や高速バスよりも、こちらの方が便利でしょう。
なお、特急を利用せず、普通列車を乗り継いで利用する方法もありますが、移動時間が長くなり乗り換えも多くなるため、お勧めできません。
在来線(JR東海道線快速)
![]() | 名古屋駅⇔JR東海道線⇔大阪駅 *大垣・米原などで乗り換えあり | 3,410円 | 2時間43分 |
最後に、在来線を利用するルートを見ていきます。この場合、東海道線の快速・普通列車を乗り継いで移動します。運賃は3,410円、移動時間は約2時間43分です。高速バスよりも少し早いですが、在来線の場合、基本的に遅れることがないため、定時制が高いのがメリットです。
最低でも大垣、米原で乗り換え、また岐阜でも、乗り換えが必要になるケースがあります。通勤時間帯に限り、名古屋米原を結ぶ列車があるので、それに乗車できれば、乗り換えを1回にできるでしょう。一方、米原以西は、姫路方面への列車が多数運行されているため、乗り換えはありません。
率直に言ってこのルートは、交通費を節約する点からみてお勧めできません。大都市のエリアを走行するため利用客が多く、着席できないことが多くあるからです。関西圏のJRでは、特急列車に見られるようなクロスシート、または転換クロスシートを採用した列車が多く、さらに、JR東日本のような、グリーン券を購入する必要がなく、乗車券のみで利用できるので、着席できればとても快適です。しかしそれゆえに、始発駅からでも着席できないことが多くあります。
なお在来線ルートには、JR関西本線を利用するルートもあります。しかし、こちらは移動時間が長くなり、乗り換えも多く、かつ亀山~木津間の運行本数が極端に減って、接続が悪いため、都市間ルートとしては選択肢に入りません。
まとめ
以上をまとめると、最も移動時間が短いのはJR東海道・山陽新幹線で、1時間ちょっとで移動できるのはとても魅力的です。交通費が安いのは夜行バスで、次が日中の高速バスです。高速バスは、名神ハイウェイバス、特急ニュースター号がメインになります。在来線は高速バスより高く、移動時間はほぼ同じ、また混雑で着席できないため、お勧めはできません。近鉄は運賃が新幹線よりも少し安い程度で、移動時間は長いのでお勧めできませんが、発着が難波や難波以南、関空方面、近鉄沿線であれば、こちらの方が便利なので、選択の余地があります。
交通手段比較早見表
移動手段 | 通常料金 | 割引最安値価格 | 移動時間 | 備考 |
JR東海道新幹線 | 5,940円 | 4,970円 | 1時間5分 ~1時間22分 | 最安値はこだまファミリー早特7 |
高速バス* | 3,000円 ~3,100円 | 1,600円 | 2時間50分 ~2時間55分 | 最安値は名神バスの特割 |
夜行バス | 2,000円 | —————- | 夜発朝着 | 宿泊費節約可能 |
近鉄特急 | 5,250円 | 4,440円 | 2時間42分 | 難波で乗り換えあり 料金は地下鉄も含む 最安値は回数券1枚使用 |
在来線 | 3,410円 | —————- | 2時間43分 | 乗り換え複数あり |